← ブログ
約5分で読めます

商品を立てて撮る方法|切り抜きを崩さない支えの隠し方

ブロックや粘着パテで立てた商品は、背景を削除しても支えごと残ります。カメラの軸線に隠す、背景と色を合わせる、影を確かめる。切り抜きを崩さない撮影台での対策を解説します。

  • product photography
  • background removal
  • ecommerce
  • studio setup
  • props
  • shadows
  • styling
商品を立てて撮る方法|切り抜きを崩さない支えの隠し方

スニーカーをソールで立たせようとすると、横に倒れます。ハンドバッグは肩から下ろした瞬間にへたります。箱入りのセットは、買い手が立った姿を見たがっているのに、寝そべりたがります。そこで手が伸びるのが、木のブロック、洗濯ばさみ、粘着パテのかたまり。これで写真は救われます。ところが背景を削除すると、支えはまだそこにいます。商品と一体化した、こぶのような姿で。

背景削除は、どこまでが被写体でどこからがそうでないかを判断します。商品に触れていて、ピントが合っていて、同じ光を受けているものは、商品の一部として読まれます。判断のよりどころは色と形のつながり方であって、「これは支え、これは商品」という前提知識ではありません。あとから物体だけを消すボタンもありません。だからこの記事の対策は、ほとんどがシャッターを切る前、撮影台の上での話になります。撮ったあとに残る仕事は、切り抜きの確認だけです。

支えはカメラの軸線上に隠す

カタログ撮影でいちばん古い手が、いまでもいちばん確実です。支えを商品の真後ろ、レンズと一直線に並ぶ位置に置き、商品自身のシルエットで覆ってしまうこと。靴のかかとの後ろに置いたブロック、ボトルの後ろに積んだ消しゴム、箱の後ろで取っ手を下にして立てたダブルクリップ。カメラにとっては、どれも存在していません。

スタジオ照明の下、テーブルに並べたデザートにデジタルカメラを向ける撮影者。背面モニターに構図が映っている

失敗はいつも、わずかなはみ出しから始まります。軸から数センチずれるだけでブロックの角が商品の輪郭からのぞき、その角はもう被写体の一部です。確認は現物ではなくライブビューの画面で、輪郭を一周なぞるように行いましょう。バッグの左の腰から顔を出した支えは、部屋の中では見落としやすく、白い背景の上では一目瞭然です。はみ出しを見つけたら、動かすのは商品ではなく支えのほうにします。商品を動かせば構図もライティングもやり直しになるからです。三脚も使ってください。せっかく合わせた軸は、次の1枚を手持ちで撮った時点で消えます。

支えの色は商品ではなく背景に合わせる

支えを完全には隠しきれないとき——背の高いボトルを後ろへ傾ける、ジャケットをハンガーに掛けるといった場面——は、支えを背後の面と同じ色・同じ明るさにします。撮影に使っている背景紙の切れ端でブロックを包む、ワイヤースタンドをマットなグレーで塗る、といった具合です。

こうすると支えと背景のあいだに見える境目がなくなり、はみ出しが残ってもグレーの上のグレーで済みます。白地に黒いくさびが刺さるのとは大違いですし、輪郭が背景側に寄っているぶん、切り抜きも背景と一緒に持っていってくれます。逆に、支えを商品の色に合わせるのは絶対にやめてください。白いスニーカーの後ろに置いた白いブロックは、自分の目には見えないのに、切り抜きでは被写体と一体になります。

透明なアクリル台もここでは避けましょう。透明な支えは背景を屈折させ、エッジに沿って明るい線を拾います。肉眼ではほとんど見えないのに、切り抜くとその線だけが商品にくっついて残る、という厄介な残り方をします。賢くて見えない素材より、マットで不透明な素材のほうが結果は良くなります。

支えるのをやめて、面ごと傾ける

いちばんきれいな答えは、支えるのをやめることだったりします。板を浅い角度で後ろへ倒し、背景と同じ素材をかぶせて、そこに商品を立てかけます。商品を支えるのは重力、板はそのまま背景になり、フレームの中に余計なものは何もありません。カメラも板に合わせて傾けておけば、商品は寝ているのではなく立っているように見えます。触れているのが背景そのものなので、切り抜きが迷う相手も残りません。

白い余白のマットを入れた濃い木のフォトフレームが、白いタイル壁に浅い角度で立てかけられ、何にも支えられずに床の上に置かれている

この方法が効くのは、背面が平らなものです。箱入り商品、本、額装したプリント、スマホケース、たたんだ衣類。倒れる前に面で受け止められるものなら、たいていうまくいきます。逆に、奥行きがあって水平に置かなければならないものは、隠したブロックの出番に戻ります。シリーズをまとめて撮るときにもいちばん扱いやすく、どのアイテムも同じ位置に同じ角度で収まります。切り抜き1枚から何十通りものカスタム背景を作る手が効くのも、土台になる写真がそろっているときだけです。

粘着パテとテグスの落とし穴

  • 粘着パテ — 底の下から押し出され、接地の線に沿った色付きの玉になって、輪郭に溶け込みます。量は釘の頭ほどにとどめ、必ず接地面の内側に収め、スエードや印刷された台紙には付けないこと。
  • テグス — ストラップを吊るテグスは細く、光が当たったところだけ明るく光り、しかも商品の上を横切ります。消えてくれることもあれば、髪の毛のような引っかき傷として残ることもあります。商品の後ろを通し、光を当てず、等倍で確認してください。
  • 詰め物 — 過小評価されている手です。バッグには薄紙、ブーツには丸めた靴下、キャップには中の型紙。商品の内側にいる支えは、外側に写りようがありません。小さくて光るものには、また別のかたちで同じ問題が出ます。ジュエリー撮影ガイドもあわせてどうぞ。

支えが消えても影は残る

最後に、支えがそこにあったあいだに落とした影を確認します。支えそのものは隠せても、支えが作った影までは隠せません。背景に落ちた影はたいてい背景として読まれ、背景と一緒に消えます。ただし接地部の真下にできる柔らかい影は、切り抜きのきわに残ることがあります。支えが商品の上に落とした影は、そのまま居座ります。靴の後ろを横切る暗い帯、ボトルの肩の下にできたくさび形の影といったものです。

白い無地の壁に立てかけたゲルインクペンのモノクロ写真。輪郭の硬い長い影が、ペンの足元でつながっている

残りのアイテムを撮り始める前に、いちばん良い1枚をremover.bgにアップロードし、接地部と後ろ側のエッジを等倍で確認しましょう。商品自身の形からは生まれようのない硬い影があれば、支えをもっと後ろへ下げるか、影が商品を横切らず外へ抜けるようにライトを動かします。影はそのあと、向きと柔らかさを自分で決められるエディターで付け直せばいい話です。写真に自然な影を付けることの重みは、画像がグリッドに並んだときにいっそう効いてきます。

40点撮る前に、1点で試す

本番に取りかかる前に、1SKUだけ最後まで通してみてください。支えて、撮って、切り抜いて、等倍で確認する。ここで支えの位置や色を1回直しておけば、そのセッティングは残り全点にそのまま効きます。撮影台の上で支えの位置を直すのにかかるのは1分ですが、あとから気づけば撮影そのものをやり直すことになります。

あわせて読みたい